家庭で使う洗剤は、見えない汚れやニオイに効くとうたわれるが、仕上がりに満足するかどうかは布そのものの見栄えにかかっている。黄ばみや色褪せが気になれば「汚れが残った」と感じてしまうため、近年の洗剤メーカーは「蛍光増白剤(FWA)」の配合に大きな期待を寄せている。中でもCBS-X(4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニル)を含む製品は、少量で鮮やかな“白さブースト効果”を生むため、特に注目されている。

FWAは紫外線(UV)を吸収し、これを肉眼に見える青白い光に変換して発する「蛍光補色効果」を活かす。綿や化繊が時間とともに帯びる黄色みは青味成分で打ち消され、結果として「本来より白く、新品のように見える」ショッキングな仕上がりが得られる。フロントリーダーとなっているメーカーは、洗濯洗剤の白さ向上を追求するなかで、この機構を製品スローガンにまで落とし込んでいる。

高濃縮液剤や酸素系・塩素系漂白剤との共存で、性能劣化を起こしにくいCBS-X。その安定性により、低温・短時間洗いでも同レベルの白さが確保できるため、節電や布へのダメージ軽減にも一役買う。これこそが、最近のトレンドである低温でも白さ確実を謳う洗剤の真髄だ。ちなみに、汎用蛍光増白剤351号(CBS-Xとほぼ同等の分子設計)を洗濯製品へ配合する目的は、まさにこの「見た目効果」の最大化にある。

FWAを除いた洗剤でも汚れは落ちる。しかし洗い上がりに“清潔感”を与えるには、やはり蛍光増白剤の力が欠かせない。FWAは粉末・液体・ソープ・柔軟剤など多様なフォーマットに展開され、消費者の“白さへの執着”に応え続ける。化学の小さな進化が、日常の幸せにつながる好例となっている。