紙は我々の暮らしと産業に欠かせない素材であり、製紙工場は日々、生産効率の向上、商品品質の高度化、環境基準の厳守という3大テーマと向き合っている。その課題を一挙に解決する要となったのが、ポリアクリルアミド(PAM)という多機能な化学添加剤である。パルプ調製から工程排水処理まで、製紙のさまざまな段階で活用され、現代工場の競争力強化を後押ししている。

PAMは水溶性高分子で、凝集性・増粘性・分散性・保持機能にすぐれており、高いコストパフォーマンスを実現する。

まずレテンション(着目)エイドとしての効果が大きい。紙質を左右する微細繊維や無機フィラーは、適切な付着が得られなければ工程水とともに逃げ、原料ロスの増大や強度低下を招く。ポリアクリルアミドの長鎖分子はそれら微粒子を吸着・架橋し、ウェブ内に固定。原料回収率がアップし、廃棄物削減とコスト削減を同時に実現する。

つづく工程ではドレイナージ(脱水)エイドとして機能する。パルプスラリーから水を迅速に除去できれば、抄紙速度の大幅な向上と乾燥エネルギーの節減が可能だ。PAMは繊維間のフラッグを促し、より透水性の高いネットワークを形成。脱水がスムーズになり、生産速度向上と運用コストダウンを両立できる。多数の業界データでも、ポリアクリルアミド導入により過濾速度が改善し、エネルギー消費量を落とせることが報告されている。

製品の均質性確保では分散剤として欠かせない。繊維どうしがムラなく分散することで、紙面のスムーズさや印刷適性が格段に向上する。過度の繊維凝集を防ぐことで紙層が均一になり、引張強度や裂き強度を高め、市場ニーズに応える高品質紙を生み出す。

環境面への貢献も顕著である。抄紙工程で生じる廃水処理において、ポリアクリルアミドは強力な凝集剤として活躍する。アニオン性PAMが懸濁物質や有機汚濁物質を凝集・沉降させ、放流水のBOD・CODを規制値以内に抑制。処理水の再利用にも貢献し、水資源保護と環境負荷削減の両立を可能にした。またスラッジの脱水効率も高め、最終処分費用の低減につなげる。

PAMの効果を最大化するには、種類選定がカギだ。分子量、荷電密度、アニオン・カチオン・非イオン・アンフォテリック型の違いは、使用するパルプや水質、目標品質によって最適値が変わる。たとえば、ウェットエンド系でのレテンションにはカチオン性ポリアクリルアミド、廃水の凝集にはアニオン性が定番だ。寧波イノファームケム株式会社のように、用途に応じた最適グレードを提案できる企業の存在は欠かせない。

まとめると、ポリアクリルアミドは現代製紙に革命をもたらすマルチツールであり、レテンションエイド、ドレイナージエイド、分散剤、凝集剤の複合機能によって、生産効率、品質、コスト、環境性能を同時に最適化する。今後ますます厳しくなる競争と環境規制に対応するうえで、戦略的なPAM活用は製紙業界の持続可能な未来を切り拓く。