多様な用途で注目されるバイオポリマー「キトサン」。その効果は、分子構造と生体との複雑な相互作用に由来します。コレステロール管理や体重減少などの目的でキトサンのメリットを最大限に活かすには、その科学メカニズムを正確に理解することが第一歩です。今回は作用原理と、摂取時に押さえるべき安全性ポイントを詳説します。

キトサンの基本構造はキチン由来の多糖類。キチンを脱アセチル化してアセチル基を除去することで、アミノ基（-NH₂）が露出。酸性環境下ではこのアミノ基が陽イオン化し、負電荷をもつさまざまな物質と強固に結合できます。たとえば経口摂取すると胃酸で陽イオン化したキトサンは、胆汁酸や食事由来の脂質など負電荷物質を腸内で「捕まえる」のです。

この「捕まえる力」がコレステロール低下の鍵です。胆汁酸と不溶性複合体を作ることで腸肝循環を阻害し、肝臓が血中コレステロールを使って新たな胆汁酸を合成せざるを得なくなります。その結果、悪玉（LDL）コレステロール値が低下。さらに脂質の吸収を直接減らすことで、体重管理にも寄与します。ただし、効果を得るには適切な一日摂取量の設定が欠かせません。

安全性について。強力な吸着作用ゆえ、脂溶性ビタミン（A・D・E・K）やカルシウム・マグネシウムなどミネラルの吸収を阻害する可能性があります。そのため、これらの栄養素を意識的に補給するか、医師に相談してから摂取を始めることを推奨。また、甲殻類アレルギーのある方は原則使用不可です。原料はエビ・カニ由来の場合がほとんどですからご注意ください。

商品選びのコツは「脱アセチル化度」と「分子量」の数値確認。これらが高いと水への溶解性や粘度、生体内活性が大きく変わります。オンラインで購入する際は、規格値が明記された信頼ブランドを選ぶと安心です。

まとめると、キトサンは自然由来でありながら、科学的に十分検証された機能性を持つ素材。しかし目的に応じた最適摂取量や併用サプリメントの調整は医療専門家のアドバイスが不可欠です。正しい知識と適切な利用で、この「海からの贈り物」を健康づくりに有効活用しましょう。