塗料・接着剤・シーラント・エラストマー（CASE）業界は、製品性能と施工効率を高める新素材を常に模索している。優れた吸湿能力で知られるゼオライトパウダーが、近年、ポリサルファイドおよびシリコーン系に本格導入され、従来処方では得られなかったメリットをもたらしている。

ポリサルファイドやシリコーンのシーラント・接着剤は、建築や産業組立など苛酷な環境で柔軟性・耐久性・耐環境性を発揮し広く採用されている。しかしポリウレタン同様、水分を嫌う性質があり、水分混入は早期硬化や接着力低下、最終製品の性能劣化を招く可能性がある。それを防ぐ切り札が「接着剤・シーラント用ゼオライト乾燥剤」だ。

ゼオライトパウダーは分子ふるい構造を活かし、原料や製造・保管工程中に混入した水分子のみを選択的に吸着する水分スカベンジャーとして機能する。これにより副反応が抑制され、ポリサルファイド/シリコーン系は設計通りに硬化し、最大限の接着強度とゴム弾性を維持する。

その応用範囲は品質向上・施工信頼性の確保に集中している。例えば複層ガラス用シーラントではゼオライトを配合することで、パネル間の結露や霧化を防ぎ断熱性能を向上。建築シーラントでは、厳しい気象条件下でも均一な硬化プロセスを実現する。「塗料における水分管理」の考え方と同様に、長期にわたる耐久接着を可能にする。

さらにゼオライトの配合安定化効果により製品の保存性が伸び、メーカーにとって経済的・性能面での大きなアドバンテージとなる。水分起因劣化を抑制することで、厳しい性能要件に応える高品質製品を安定供給できる。スペシャルティケミカルパウダー市場は拡大を続け、ゼオライトパウダーはCASE業界におけるポリサルファイド・シリコーン系製品の能力向上をけん引する存在感を増している。