医薬品業界では、原料そのものの品質が最終製剤の安全性と有効性を左右する最も重要な要素だ。高需要を誇る医薬中間体・アセチルサリチル酸(アスピリン)も例外でなく、供給チェーン全体で厳格な品質管理が求められる。調達の際は、次に紹げるポイントを押さえることで、確実に高品質なアスピリンを入手できる。

アスピリンを製薬原料として購入する際、まず確認すべきはグレードと各国薬局方への適合性である。信頼できるサプライヤーは、USP(米国薬局方)、BP(イギリス薬局方)、EP(欧州薬局方)など主要薬局方の規格に準拠したアスピリンを提供し、純度・不純物プロファイル・物性値などを明記した証明書とともに納品してくれる。

具体的にチェックすべき品質仕様は以下の通り

  • 純度:通常99.5%以上、不純物を極小化。
  • 鑑別試験:IRスペクトルなどの分光法でアセチルサリチル酸であることを確認。
  • 乾燥減量:水分含有率を規制し、経時変化を抑制。
  • 焼灼残分:無機不純物を把握。
  • 重金属:毒性のある金属元素の含有量を厳格に制限。
  • 遊離サリチル酸:未反応サリチル酸を定量し、胃刺激を回避。

証明書と規制認証も品質を裏付ける重要な要素である。ロットごとのCoA(分析証明書)はもちろん、GMP(医薬品適正製造規範)に適合した工場で生産された製品であることが必須。そのうえで、FDA登録やPMDAとの事前協議など、輸出先市場の規制要件もクリアしているかを吟味する。

信頼できるサプライヤーの選定には、以下の基準を活用するとよい。まず、製薬化学品分野で実績を有し、製造工程を透明化し、安定した品質を維持しているメーカーや流通大手を優先的にリストアップ。さらに、納期、25kg袋/ドラムなどの包装形態、輸出向け物流サポートなども実務的に要検討だ。

医薬中間体市場は競争が激しく、価格差だけで判断すると品質面で損をする恐れがある。特にアスピリンのような主要APIでは「品質」こそ最優先とし、確実に連続供給可能なサプライヤーを選ぶことが重要となる。高純度アセチルサリチル酸を確保すれば、安全かつ効果的な医薬品製造の土台が完成する。今後の調達においては、本稿の要点を押さえた上で、認定済みメーカーと直接交渉し、コンプライアントで強固なサプライチェーンを構築してほしい。