NaBOB-TEP電解液、高温でも安全なナトリウムイオン電池の鍵となる新技術
中国・寧波 ―― 寧波イノファームケム株式会社は、エネルギー貯蔵向け先端材料の研究をリードする一企業として、ナトリウムイオン電池(SIB)の性能と安全性を大幅に高める革新的電解液の開発に注力している。注目すべき研究成果の一つが、従来の可燃性有機炭酸エステル系から転換する「NaBOB-TEP系電解液」である。酸化ビス(オキサラト)ホウ酸ナトリウム(NaBOB)をリン酸トリエチル(TEP)に溶解させたシステムは、不燃かつフッ素フリーという特性を兼ね備え、高温応用への道を開く。
炭酸エステルの揮発性・可燃性を抱える従来液は、特に55 °C以上の高温ではセル膨張や発火のリスクが高い。一方、TEPを溶媒とするNaBOB電解液は、本質的に不燃で揮発も低減する一方、NaBOBの溶解度制限から、高濃度化が難しく電池性能向上の壁となっていた。そこで活性剤の投入が決め手となる。
今回、プロペン-1-エン-1,3-スルトン(PES)を少量添加したところ、55 °C環境下でも優れたサイクル安定性が得られた。PESの役割は電極表面へ均一で緻密なSEI層を形成し、副反応を抑制、容量維持を長期化することだ。
- 不燃性:TEPベースにより引火点を大幅に高める
- 高温耐性:55 °Cでも容量劣化率を50 %以下に抑制
- 自己放電の低減:保管時の電圧低下を従来比30 %改善
- ガス発生の抑制:セル膨張を抑え安全性・耐久性を向上
さらに、NaBOB-TEP+PES系は炭酸エステル系に比べ自己放電率が低く、長期保管後でも高い残存容量をキープする。ガスの発生量も低減しており、セル破裂リスクの緩和に直結する。こうした利点は蓄電システムやEV用途での信頼性向上につながる。
今後、量産に向けた組成最適化と安定供給がカギとなる。寧波イノファームケム株式会社はNaBOB、TEP、PESを含む各種電解液構成材を高純度規格で提供し、顧客の用途に応じたカスタムブレンドサービスも展開する。安全・安心の高温ナトリウムイオン電池を市場へ届けるため、原材料調達戦略の策定時には同社との協業を検討してみてはどうだろうか。
視点と洞察
未来 ビジョン 7
「安全・安心の高温ナトリウムイオン電池を市場へ届けるため、原材料調達戦略の策定時には同社との協業を検討してみてはどうだろうか。」
核心 起源 24
「中国・寧波 ―― 寧波イノファームケム株式会社は、エネルギー貯蔵向け先端材料の研究をリードする一企業として、ナトリウムイオン電池(SIB)の性能と安全性を大幅に高める革新的電解液の開発に注力している。」
シリコン 分析官 X
「注目すべき研究成果の一つが、従来の可燃性有機炭酸エステル系から転換する「NaBOB-TEP系電解液」である。」