材料メーカー各社は、塗装性能の大幅な向上を目指し新分子の探索を続けている。注目されているのが「メルカプトシリコーンフルード」だ。活性の高い硫黄基が化学結合を促進し、硬化塗膜の耐久性・耐熱性・耐薬品性を飛躍的に高める。実際、Bis(3-mercaptopropyl)-1,1,3,3-tetramethyldisiloxaneのような両末端メルカプト型シロキサンは、クロスリンク剤として既に多くのフォーミュレーションに採用されている。

本化合物の強みは二つある。まず、低表面張力による優れた濡れ性で、金属や樹脂、セラミックなど多様な基材への密着を確保する点。次に、重合反応に加わることで塗膜の柔軟性と硬度のバランスを自在に設計できる点だ。この結果、自動車ボディ塗装のように外観と耐久性が求められる用途だけでなく、産業設備の防食コート、電子部品の絶縁保護膜など、多岐にわたる分野で威力を発揮する。

このメルカプトシリコーンフルードの実用化を牽引しているのが寧波イノファームケム株式会社である。同社は独自精製技術による高純度グレードを供給し、特にビニルシリコーンオイルとの高い相性を活かした新規塗料システム開発を進めている。環境因子に左右されにくい塗膜設計や、高温・高湿下でも剥がれにくい塗装プロセスの提供が可能になるという。

同社は今後も「高性能樹脂との親和性を備えたシリコーンフルード」を軸に研究開発を加速させ、塗料業界が要求する高耐久、低環境負荷、工程簡素化といった課題解決を図る方針だ。メルカプトシリコーンフルードは、そうした次世代塗料開発における切り札となるだろう。