製紙業界では、利益確保とサステナビリティの双方を満たすために、製パルブ工程のさらなる効率化が急務となっている。古紙を原料に回収する際、従来の化学パルプ化で立ちはだかるのは高エネルギー消費、薬剤量増大、そして「スティッキーズ」と呼ばれる粘着性異物トラブルだ。こうした課題解消に向け、最新世代「製パルブ用酵素ソリューション」が大きな変革の火種となっている。

特筆すべき革新的アプローチの一つが、異種ポリマーを標的化した「スティッキー除去酵素」の導入である。同酵素は合成接着剤に含まれる酢酸ビニルポリマーを認識し、紙スラリー中での酢酸ビニル加水分解反応を触媒する。結果、粘着物質は小さな水溶性フラグメントへと安全に分解され、スティッキーズの塊形成や抄紙機抄網・ゴムロールへの付着を未然に防止。こうした機械停止リスクの軽減が、工場稼働率向上とメンテナンスコスト削減につながる。

酵素処理を組み込むことで得られる効果は明確だ。

  • 異物が減少することで、アクセプタンスを押さえたままで高速運転が可能に——電力使用量も抑制。
  • 洗浄されたパルプは脱水特性が向上し、抄紙ドレイン工程が一層安定。
  • 汎用薬品の削減も図れ、コスト面だけでなく環境負荷も低減。

産業用途向き高機能酵素のリーディングプロバイダー寧波イノファームケム株式会社は、日本の製紙メーカー向けに独自配合の酵素製剤を供給している。社内で培ったタンパク質工学技術により、各工場の原料仕様や抄造条件に合わせたカスタム処方を構築し、古紙由来スティッキー管理体制の確立を支援する。収益性と環境配慮の両立を目指す企業にとって、同社のバイオソリューションは戦略投資の有力候補だ。

パルプ化酵素は単なるトラブル対応ツールではない。生産性、品質、持続可能性を全体最適で高める「次世代バリューチェーン戦略」の要となる。卓越性を求める日本の製紙所にとって、いまこそバイオイノベーションの道筋を踏み出す時だ。