私たちが「身体が感じる」「手足が動く」といった日常的な動作は、ひとえに神経網が正常に機能していることの賜物です。しかし、慢性的なしびれやピリピリ感といった神経障害による不快感はQOLを著しく低下させる大きな要因といわれています。

近年、研究者の間で期待値が高まっているのがα-リポ酸(以下ALA)。糖尿病や薬剤投与、外的ダメージなど複合的要因で発症する「ニューロパチー」において、その強力な抗酸化・抗炎症作用が注目されています。

ALAは細胞膜への透過性が高く、脳関門も通過できることから、末梢神経細胞だけでなく中枢神経領域にも作用。さらなる魅力は、既に進行した神経障害の進行を遅らせるだけでなく、痛みやしびれといった症候を軽減する可能性があることです。糖尿病性ニューロパチーを対象とした複数の臨床試験でも、足先の焼けるような痛みや異常感覚が改善する報告が相次いでいます。

ALAの神経保護メカニズムが解明されるにつれ、早期介入や個別化された栄養戦略としての活用が模索されています。ただし、摂取のタイミングや用量は個人差があるため、医師や薬剤師などの専門家に相談したうえで利用を検討することが肝要です。