エネルギー維持から体重管理まで、全身の健康に直結する「代謝機能」。しかし歳を重ねるにつれ、血糖のコントロールが難しくなり、年々燃費が悪化しがちだ。近年の研究で、その立ち位置が急浮上したのがβ-ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)である。

NMNは補酵素NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の前駆体。NAD+は細胞内で数百もの代謝反応を司り、摂取した栄養をATPへと変換する「エネルギーラインナップ」の要だ。加齢に伴いNAD+濃度が下がると、ブドウ糖や脂質の代謝効率が損なわれ、インスリン抵抗性や耐糖能障害につながることが報告されている。

NMNはこのNAD+を「満タンに戻す」ことで機能を取り戻す、と期待されている。実験では、メタボリック課題を抱える被験者でインスリン感受性が改善したケースも確認されている。血糖値がスムーズに細胞へ取り込まれるようになれば、健常域の維持は格段に楽になる。

さらに脂質代謝にも好影響が観測されている。血中脂質バランスの調整により、コレステロール値や中性脂肪値の改善につながる可能性がある。循環器リスクを押さえることは、総合的なメタボリックウェルネスにも貢献する。

ミトコンドリア機能の活性化によるカロリー燃焼効率の向上も見過ごせない。加齢による基礎代謝の自然な低下トレンドに抗う手立てとして、栄養素をATPへ変換する力を底上げできると期待されている。

もちろん、人を対象とした臨床データは今後も蓄積される段階だが、早期の知見は確実に前向きだ。高純度NMN粉末は容易に入手できるうえ、摂取フォーマットも柔軟。ただし、個々の体質や健康計画に合わせるため、かかりつけ医や専門家への相談は欠かせない。