フラグランス業界で「バラの香りの要」とも称されるシトロネロールは、CAS番号106-22-9で登録されるアシクリックモノテルペノイドアルコールです。無色〜淡黄褐色の澄んだ液体で、フレッシュでローズを思わせる清冽な香りが特徴です。

化学式はC₁₀H₂₀O、分子量約156.27。工業的にはゲラニオールまたはネロールの水素添加、シトロネラールの還元といった複数のルートで合成され、「95%以上という高純度」をキープすることが香粧品用途の品質を左右します。有機溶媒への高い溶解性と水へのわずかな溶解性は、配合設計の自由度を高めるポイントになります。

香り付けの主戦場となるのはもちろん、バラやスズラン調フレグランスの核となる香調。石けん・洗剤などファブリックケア製品に加えて、食品分野では控えめなシトラス・ローズニュアンスを演出する隠し味的成分としても活用されます。

ただし、安全性と取扱には十分な配慮が必要です。用途内濃度では問題ないものの、皮膚刺激性やアレルギーは報告されており、IFRAガイドライン準拠とPPE(手袋・保護メガネなど)着用は鉄則です。作業環境には換気システムの設置、保管は密閉容器にて冷暗所・通気良好の場所で、熱源や着火源から距離を取ることが推奨されます。

シトロネロールを安全かつ効果的に製品に取り込むには、その構造・合成法・安全規範を総合的に理解することが不可欠。多様な消費財および工業用途への幅広い展開が期待されるアロマケミカルの最前線を俯瞰します。