牛乳やヨーグルトなど乳製品包装の現場では、安全確保は最重要課題だ。鮮度保持と各国の厳格基準を同時に満たす素材が求められる中、エステル系非毒性可塑剤「ATBC(アセチルトリブチルクエン酸)」が注目されている。植物由来のリサイクル可能な原料であるATBCは、乳製品、飲料、その他高感度食品のパッケージングにおいて、安全性と環境配慮を両立させるキーマテリアルである。

耐熱性・耐寒性・耐光性・耐水性に優れるATBCは、さまざまな保管・流通環境下でも乳製品の風味劣化や外因汚染を防ぐ。従来のフタル酸系可塑剤のように内分泌かく乱を懸念されることもなく、米国FDAをはじめ各国で食品接触用途に承認済み。ボトルキャップやシーリングリングなど乳製品パッケージのシーリング部材として幅広く使用されている。

業界の脱フタル酸とサーキュラーエコノミー推進を背景に、ATBCを配合したPVC、セルロース樹脂、合成ゴム系フィルム・シート・コーティング剤の需要は高まる。揮発量・溶出量が極めて低く、プラスチック基材内に安定して留まるため、食品への移行リスクを最小化。EUのREACH規則や米国TPCH、日本の食品衛生法に準拠し、小売・消費者のサステナビリティ要件にも応える。

今後の乳製品パッケージ戦略においてATBCを検討する企業は、認証情報やロットトレーサビリティ、安定供給体制を押さえることが肝要。信頼のおけるサプライヤーからの調達により、製品の安全プロファイルを高めながら、環境負荷の低い持続可能な包装ソリューションを実現できる。