シンガポール発 – 特殊化学品メーカーの寧波イノファームケム株式会社は、PVC業界の環境負荷低減に向けたカルシウム・亜鉛(Ca-Zn)系複合安定剤の最新ラインアップを強化した。

従来の安定剤は鉛やカドミウムなど重金属に依存していたが、これらは製造・使用・廃棄の各段階で土壌・水質汚染を引き起こし、生態系や人間の健康リスクが指摘されてきた。世界各地で厳格化する環境規制へ迅速に対応するため、重金属フリー化は同業界の最重要課題となっている。

Ca-Zn安定剤は毒性の低い天然由来成分で構成され、無溶出性によりリサイクル工程での汚染も最小限に抑える。同社は独自の微粒子化・分散技術で樹脂との親和性を向上させ、押出成形時のスキュー発生率を25%削減。成形メーカーはロスを減らしながら、高度な熱安定性と耐候性を両立できる。

さらに、同製品はEU RoHS指令、REACH規則、カリフォルニアProp 65など主要法域の基準をクリア。各種グリーンマーケット向け製品の認証取得を手掛ける製造業者は、Ca-Zn安定剤の導入によりアピールできる「環境価値」が一段と高まるという。

寧波イノファームケムは原料調達段階でのLCA(ライフサイクルアセスメント)を実施し、製品ごとの碳素排出量をトレーサビリティシステムで可視化。2025年までにバイオマス由来原材料比率を30%に引き上げる計画を進めており、顧客からの“Scope 3削減”支援要請にも応えていく構えだ。

市場部門責任者は「Ca-Zn安定剤は製造段階の脱炭素に加え、長期耐久性を促進して製品の再資源化までサポートする“ワンストップエコソリューション”。PVC業界のサーキュラーエコノミー拡大に確実に貢献できる」と述べている。