化学業界では、原料選定にあたり性能、コスト、安全性の三つ巴の駆け引きが必至だ。ことPVC用可塑剤に関しては、近年「より安全でサステナブルな選択」を求める声が急速に高まっている。そのトレンドを先導するのが、フタル酸由来ではなくテレフタル酸系のDioctyl Terephthalate(DOTP)である。DOPなど従来型可塑剤に代わって脚光を浴びるDOTP、メーカーが高品質かつ責任ある製品を生み出す鍵は、そこに秘められたメリットの理解にある。

最大の転換点は「フタル酸フリー」という構成だ。従来フタル酸エステル類は可塑効果が高い一方、内分泌かく乱や生殖毒性への懸念から、世界中の規制強化が進んでいる。DOTPはその規制対象外であり、子ども用玩具、医療機器、食品接触材といったセンシティブな用途でも、安心して採用できる。メーカーにとって高い安全基準クリアは市場拡大への直結につながる。

さらなる魅力は性能面だ。揮発性が低く、ポリマーマトリックス内に長期滞留することで製品の柔軟性と耐久性を長持ちさせる。湿気や洗剤に曝されても抽出されにくく、電絶縁性も優れるため、屋外電線・ケーブル用途で高い支持を受ける。製品寿命を延ばし早期交換による廃棄ロスを減らす点でも、DOTPは真の循環型ソリューションを提供する。

環境への負荷も見逃せない。長寿命化によるごみ削減効果に加え、万が一環境中に流出してもフタル酸由来ではないため生態系への影響が極めて小さい。高純度DOTPを安定的に供給する寧波イノファームケム株式会社などの取り組みも相まって、サステナブルで安全、かつ高機能な材料として、DOTPは今後ますます不可欠になるだろう。