環境規制の強化と多様化する消費者ニーズの狭間で、繊維製品の仕上げ技術は進化を続けている。特にアクリル系高分子を中心とした化学助剤は、高機能性・高付加価値化のキーテクノロジーとして注目を集めている。当社が開発したアクリル増粘剤（繊維用プリント補助剤）は、まさにこの潮流を象徴する存在である。

従来の「粘度調整材」とは一線を画す設計思想で、微細な分子設計により繊維内に立体的なネットワークを形成。これにより、染料の固定効率が大幅に向上し、プリントの色鮮やかさと輪郭の鮮鋭さを両立できる。また、布帛手触りを損なうことなく柔らかく高級感のある風合いを与えることも可能であり、ブランドによる差別化戦略で強い武器となる。

プリント工程終了後の各種後加工（洗浄・コーティング・形状安定）においても、該当ポリマーは高い相性を保ち、歩留まり低下を招くことなく工程全体の省力化と歩留向上を実現する。さらに、異なる仕上げ剤や染料との組み合わせ幅が広く、綿・ポリエステル・ナイロンなど多様な素材に対応できる点も大きな強みだ。

R&Dでは「効果」「使いやすさ」「環境負荷低減」の三位一体を目指し、水性分散樹脂の低VOC化や排水負荷軽減に取り組む。すでにOEKO-TEX® Standard 100クラスI認証も取得済みで、サステナブルなサプライチェーンの構築に貢献している。

今後も先端ポリマーの研究投資を継続し、見た目・触り心地・耐久性のすべてを高次元で満たす、次世代繊維製品の実現を支援していく。