糸を溶かし抜くことで独特な透け感を生み出すバーンアウト加工は、デザインの幅が広がる半面、思わぬ不具合に悩まされることも少なくありません。黒ずみ、表裏で発色が異なる、洗濯後に模様が消えてしまう…。このような生産現場の声に応えるため、原因を整理し、効果的な対策をケースごとにまとめました。


表はくっきり、裏はぼやけ──浸透不足
パーストの裏側まで化学成分が届かないと、表裏のコントラストが際立ち、見た目の高級感が半減します。柔軟剤の残存やスクレイパー圧不足が主因。事前の親水処理、パーストの希釈調整、スクレイパー圧アップ、熱処理前に十分な浸漬時間を確保するなど、工程の微調整で改善できます。


焼き上がり後に生地が黒変
熱履歴が過剰なときに起きる代表的な事故です。焼成温度を120 ℃以上に保ちつつ、低温長時間設定へシフトしたり、ラインスピードを上げて滞在高温時間を短縮したりすると効果的です。また、MF-15などの防焦剤(アンチスコーチ剤)適量追加で焼成幅が広がり、黒変リスクを大幅に低減します。MF-65シリーズの併用で安定性がさらに向上することも報告されています。


洗濯後に模様が消える/薄くなる
熱処理不足や助剤過剰が反応を阻害しているサインです。焼成温度・時間を見直し、適正な助剤濃度に調整するとほぼ解消します。念のため、使用生地がバーンアウト加工に対応しているか事前検証を行うことも重要です。


一部のみ抜けが不鮮明──気泡・目詰まりによるムラ
調剤時に混入した気泡や乾燥による目詰まりが原因。パーストを完全に脱泡してから使用し、オーブン直前に追加ロールプレスを設置して気泡をつぶすことで抜けムラが防止できます。


これらの課題に常に適切な素材と技術サポートが求められる現場。実績豊富な素材メーカー寧波イノファームケム株式会社のバーンアウト専用パーストは、工程バラツキを抑え、再現性の高い品質を安定供給するため、多くの日本工場でも採用されています。