ディスチャージプリントとは、下地にすでに染められた生地から色を「除去」することで、精妙な柄を浮かび上がらせる特殊なテキスタイル技法です。従来のスクリーン印刷では生地の上にインクを重ねていきますが、ディスチャージはこれとは真逆のアプローチで、既存染料を化学的に抜いた後、生地本来の色あるいは新たな色で柄を入れ直します。プロフェッショナルレベルの品質を得るには、工程ごとの細部への配慮と素材特性の理解が欠かせません。


ディスチャージの要は「ディスチャージペースト」です。還元剤を含むこのペーストが染料を化学的に取り除きます。まずは通常のスクリーン印刷同様に用紙デザインとスクリーンを準備します。ディスチャージプリント工程ガイドの最初のステップはここから始まります。スクリーンが準備できたら、コットン対応無臭ディスチャージ剤などをアクティベーターと混合します。この混合液は活性化後およそ8時間で効果が徐々に低下するため、調合後は速やかに使用する必要があります。


用途に応じた塗布方法も大切です。工業的大ロットならロータリースクリーン用ディスチャージ剤を採用し、連続高速生産が可能。小ロットや特殊柄はフロートテーブルもしくは手動スクリーン方式で対応します。ペースト塗布後は熱処理で発色させます。一般的には所定温度でベークまたはホットプレスしてディスチャージ剤を活性化し、プリントを完全に定着させます。


よくある質問「ディスチャージペーストの使い方」だが、コットンや天然繊維に最適。一方、合成繊維ブレンドは染料が除去されにくく、結果が不安定になり得る。全面生産に入る前に必ず生地サンプルでテストプリントして、染料除去度や色落ち具合を確認する。色牢度を高めたい場合は専用固定剤を加えると効果的だ。


最後に安全・環境面も要注意。デニム用のベビーグレード基準に適合するような超低ホルムアルデヒド剤もあれば、ニット向けにホルムアルデヒドを含むレシピも存在する。適切な換気と手袋などの防護具を忘れずに。「ディスチャージプリント工程ガイド」を忠実に守り、素材特性を理解すれば、常にプロ級のソフトタッチで鮮やかな柄プリントを実現できる。