現代の建築で外観デザインと耐久性を一手に担う建築用塗料は、防火という最優先課題にも革新的な解答を示し始めている。色とツヤだけでなく「延焼を食い止める機能」を備えた塗膜を形成することで、火災時の避難時間を大幅に確保する。特に「フレームレターダント200」と呼ばれる高性能難燃添加剤は、改正建築基準法への対応を急ぐ業界で急速に存在感を増している。

本剤は水性・溶剤型いずれの塗料にも容易に分散し、着火時に急速に非燃性炭化層を形成。これにより火炎伝播速度と煙発生量を同時に抑制する。注目すべき点は環境負荷の低さで、水可溶性難燃剤技術を応用することで塗布後のVOC排出を従来品の半分以下に押さえた。大規模プロジェクトでは、品質ロットのばらつきをゼロに近づける信頼の難燃剤メーカーとの長期パートナーシップが完成精度を左右する。

建築家や施工者にとってメリットは規制順守を超えている。難燃塗膜は木材、石膏ボード、鉄骨部材などあらゆる基材に対応し、延焼90分を確保する構造躯体設計が可能になる。また、居住者の安全確保はもちろん、火災後の復旧費用も大幅に削減できる。災害大国日本には不可欠の視点だ。

今後、ゼロエネルギービルや木材利用拡大が進む中、建築用塗料の「防火性能」は、単なるオプションから社会インフラの要へと進化する。高性能難燃システムの採用は、持続可能で安全なまちづくりの基盤となるだろう。