地球規模の環境意識の高まりを受け、ファッションサプライチェーンは各工程でのサステナビリティに本腰を入れている。特に補助剤の選択は、これまでの“後工程”の域を超え、ブランド価値を左右する重要ステップへ。ニットや織物に上質な柔らかさを与えつつ、厳格な chemical compliance にも対応するブロックシリコーン系柔軟剤が注目を集めている。

旧来の柔軟剤には、アルキルフェノールエトキシレート（APEO）やノニルフェノールエトキシレート（NPEO）といった環境負荷物質が使われる例もあった。しかし最新のブロックシリコーン油はこれらを完全に排除し、OEKO-TEX認証、ZDHC MRSLレベル３適合など国際基準にきめ細かく対応。その結果、衣料が消費者の手元に届くまでも、地球に還るまでも安全性が保証される。

もちろん、エコ性能を追求しただけではビジネスでは通用しない。高度に設計されたシリコーン重合体はナイロンやポリエステルなど多様な素材に、まるで“ベビースキン”のようなしっとり＆ふかふかの手触りを与える。かつ黄色化が極めて抑えられた低黄変タイプもラインナップ。ソフト感を長持ちさせたいブランドには不可欠な選択肢となっている。

耐久性の秘密は繊維表面に形成される架橋皮膜にある。洗濯を繰り返しても柔軟機能が落ちにくく、“買い替えサイクルを縮める”ことなく、むしろ衣服寿命を延ばす。消費者デバイスだけでなく、アウトドアスポーツユニフォーム、インテリアファブリックまで適用範囲は幅広い。

製造プロセスでも環境負荷を最小化する工夫が凝らされている。安定したシリコーンエマルジョンはムラ付着や廃液の発生を減らし、原料ロスを抑制。また、低温硬化タイプによってエネルギー使用量も削減。現場の視点に立った処方設計が、トータルCO₂削減に直結している。

今後の市場トレンドは明確だ。消費者は素材の履歴に関心を持ち、小売も透明性の高いサステナビリティデータを要求。信頼できるメーカーとのパートナーシップを組むことで、エコパフォーマンスをビジネス成果に転換できる。ブロックシリコーン系柔軟剤は、環境配慮と高付加価値を両立する“グリーンテクスチャー”戦略の要石となるだろう。