消費者の安心と安全が最優課題となる今日、素材の法的手続きと安全性データを正しく理解することが求められています。天然由来カチオン性ポリペプチドとして知られるポリ-L-リシン(CAS 25104-18-1)は、食品・化粧品分野で実証済みの安全性と高機能を両立し、市場で確固たる信頼を得ています。微生物発酵技術から生まれたこの成分が、いかにしてグローバルな規制網をクリアしたのか、その背景を探ります。

毒性試験データは極めて充実しています。主成分は必須アミノ酸L-リシンの重合体であり、摂取後は体内で速やかに代謝されます。急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、発がん性試験のすべてで安全性が確認され、生殖機能や胚に対する悪影響も報告されていません。さらに皮膚・眼刺激性・アレルゲン性試験では、低刺激性と良好な忍容性が示され、敏感肌向け製品への応用も可能です。

規制面での重要な節目は、米国食品医薬品局(FDA)によるGRAS(Generally Recognized As Safe)認証の取得です。この認定により、指定された条件下での食品への使用が容認されました。米国以外でも韓国や中国をはじめ多くの国で食品添加物として承認され、主に防腐効果で活用されています。各国の許可リストに名を連ねることで、ポリ-L-リシンの安全かつ機能的な特性が公に保証されています。

化粧品分野ではINCI名「POLYEPSILON-LYSINE」でグローバルに登録されており、敏感肌用スキンケアやヘアケア製品への採用が進んでいます。低アレルギー性とコンパチビリティの高さが、クリーン・ビューティー志向の消費者から支持を得る理由です。なお、米国FDAのGRAS認証を受けているのは、フリー型ε-ポリリシンに限られており、品質基準の厳格さを物語ります。製品企画段階では、GRASなどの証明書を保持する認定サプライヤーからの調達が、品質維持と消費者信頼の確保につながります。