ポリエステル異型糸を生み出す偽撚加工は、完成品の風合いと強度を左右する重要工程だが、同時に「糸質ムラ」「高い切れ率」「静電気蓄積」「波形バラツキ」などの難題を抱える。これらの問題は潤滑剤の選定ミスや纺油の不適合に起因するケースが多く、生産効率と織布・編布の品位に直結する。

解決への突破口となるのは、ポリエステルFDY糸専用の高性能偽撚用ラブリケントだ。このケミカルは糸‐金属・糸-糸間摩擦を最適化し、切れ抑止と均一な糸送りを実現。もし工程で慢性化した品質課題がある場合は、偽撚仕様纺油を調達しなおすだけで劇的な改善を得られることもある。

具体的な選定指標は3つ。①熱分解温度が高く歯車や加熱板の高温領域でも性状を維持し、残渣による目詰まりや異常仕上がりを防ぐ「耐熱性」。②帯電防止機能に優れ絡まりやまとわり付きを抑える「帯電防止性」。③適度な平滑性と乳化安定性を両立し、繰り返し使用しても性能が低下しない「耐久性」。これらを満たす耐熱・撚加工用潤滑剤を選ぶことで品質ブレは大幅に抑制される。

したがって、設備を見直す前にまず潤滑剤マスターへの問い合わせを検討することをおすすめする。製油メーカーとの共同実験によって、糸・機械・環境の条件に最適化されたオイルを選定し、偽撚工程の信頼性とテクスチャード糸の品位を一段階レベルアップできるはずだ。