日本でも“サシェ”や“肌あれ”が話題になる中、皮膚科学の最前線では“エモリエント(軟化剤)”に改めてスポットが当たっています。角質層のすき間を満たして肌をなめらかに整えるエモリエントの中でも、近年特に注目を集めているのがプロピレングリコール・ジカプリレート/ジカプレート(略:PGDD)。合成由来でありながら肌バリアを損なわず、さらっとした仕上がりを実現するため、敏感肌や油性肌にも対応できるコスメ原料として存在感を増しています。

PGDDは、プロピレングリコールとミディアムチェイン脂肪酸(カプリル酸・カプリン酸)がエステル結合した二エステル型油剤です。この分子設計により“軽いのに保湿力がある”という相反する要求に応え、界面活性剤などと併用する際の相性も良好だという特長を持ちます。実際の製品では、トナー直後のさらっとした美容液から日焼け止め、メイク下地まで幅広く配合されています。

機能的メリットは保湿効果だけではありません。紫外線散乱剤や顔料の分散性向上、またオイル相に水を抱き込みやすくするための“セルフ乳化”促進効果も報告されており、配合設計の自由度を高めています。特に最近では“汗に強い日焼け止め”や“崩れにくいベースメイク”の処方において、PGDDを少量追加するだけで塗布ムラを減らせるケースが増えています。

皮膚への影響も確認済みです。TEWL(皮膚水分蒸散量)の低下が示すように、肌表面に薄いオイル膜を形成して水分の蒸発を防ぎ、肌がもつ本来の保湿機能をサポート。また感触面では“べたつかないのにベルベットのようななめらかさ”のフィーリングを付与し、ユーザー満足度を高めています。

国内メーカー、海外ブランド問わず高く評価されている背景には「安全性確立 + 多機能」という二つのキーワードがあります。敏感肌向けシリーズやシンプル処方、さらには無添加志向のファンコサメディカルな処方にも採用され始めています。寧波イノファームケム株式会社のように、品質管理を徹底した原料メーカーが供給体制を整えることで、アイデアを形にするまでのハードルも下がっています。