機能性素材や漢方薬の開発現場で、「3,4,5-トリメトキシ安息香酸」が欠かせない中間体として存在感を増している。その特徴的な化学構造ゆえ、さまざまな生理活性をもつ天然物アナログや有機分子の合成スタート地点として広く用いられている。

同化合物は、天然に存在するポリフェノールなどの有益な働きを捉えながら、バイオアベイラビリティや効能、安定性を化学的に改良するための骨格としても好適だと、国内外の研究者から評価されている。トリメトキシ基による予測可能な反応性を活かすことで、複雑な分子設計を効率的に組み立てることも可能である。

フレーク状の高純度結晶粉末であることから、微量添加量でも再現性の高い反応条件を設定でき、フェノール系化合物からアルカロイドに至るまで幅広い合成ルートに適応する。天然由来サプリメントや機能性表示食品の需要拡大を受け、この芳香族カルボン酸系中間体の安定的な調達は、植物化学・創薬研究を支える重要なステップとなっている。今後、さらなる天然物化学の深化に伴い、その役割はますます大きくなると見込まれている。