スキンケア市場で「効く成分」に対するニーズは高まる一方。その中でも注目を集めているのが、フラボノイド系成分「ヘスペリジンメチルカルコン（HMC）」だ。柑橘由来かつ独自の化学修飾によって高い水溶性与生物学的利用能を獲得したこの成分は、角質層まで届きやすく、バリア機能の修復・強化に優れた効果を発揮する。美容業界では「次世代バリアケア素材」として既に高い期待を集めている。

肌バリア機能とは、外界から刺激や乾燥を防ぐ角質層の防御ライン。HMCはセラミド生合成をアップさせ、フィラグリンやB－グルコセレブロシダーゼなどの鍵蛋白質を高発現させることでこの防御ラインを強化するという。研究ではヘスペリジンメチルカルコンによるバリア修復効果が数値的に示されており、保湿保持力が高まり、外因性刺激によるシミを防ぐ効果も確認されている。

バリアケアだけがHMCの魅力ではない。同時にHMCの抗酸化作用によりフリーラジカルを捕捉し、酸化ストレスによる老化を抑制。紫外線や大気汚染などの外因性ダメージから細胞を守ることで、透明感あふれる肌環境を維持する。そのためエイジングケアやポリューションケア製品への組み込みが急増している。

フォーミュレーションのポイントは、HMC特有の鮮やかな黄色調にある。色味を活かしつつ皮膚への効率的な送達を確保するには、浸透促進剤の併用とインビボ試験での最適濃度設定が欠かせない。さらに抗炎症性も併せ持つため、敏感肌や赤みがちな肌への処方でも有用だ。多彩な機能性と安全性を備えたHMCは、今後もスキンケア開発のマストアイテムとなることは間違いない。