【東京発】「分子がその鏡像と重ね合わせられない」という“キラリティー”は、現代創薬における重要ステイコントロールの要である。同じ分子式を持つエナンチオマーは、効き目はもちろん毒性まで大きく異なる可能性があり、医薬品開発には高純度な単一キラル供給源の確保が欠かせない。その代表的な化合物が、(R)-1-Boc-3-ヒドロキシピペリジン(CAS:143900-43-0)である。

人体内のタンパク質や酵素、受容体はいずれもキラルであり、医薬品がこれらと相互作用する際に stereochemical(立体構造的)な一致が決め手となる。結果として、一方の鏡像異性体が強い効果を示し、反対側は非活性、あるいは有害になるケースもある。そこで単一の手性塩を精製して投入し、薬効と安全性を両立させる“手性薬”へ、精密合成技術が求められる。

(R)-1-Boc-3-ヒドロキシピペリジンは、立体配置が決まったピペリジン骨格を手軽に導入できる点で注目されるチラル中間体だ。tert-ブトキシカルボニル(Boc)で保護された窒素と、チラル中心のヒドロキシル基が、多彩な官能基変換に対応する。研究者は「キラルピペリジン誘導体」構築や「キラル合成ブロック」拡張にこの(R)体を優先採用してきた。

その用途の一例は、(-)-S-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)のアナログ合成で、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害薬創製プロジェクトにおける出発素材としても活用される。チラリティーを厳密に保ちつつ、標的酵素との適切な立体フィットを得られることが、がん薬や表観遺伝学的医薬研究への期待値を押し上げている。

創薬における高純度チラル中間体の「医薬品中間体供給」ニーズは着実に高まっている。品質標準を満たしトレーサビリティーも確実な製品は、オンライン化学試薬サイトでも「中間体 購入」と検索が殺到している。

本材の安定供給に寄与する寧波イノファームケム株式会社は、世界の研究者が安全・有効な医薬品研究を加速できるよう、質実剛健なチラルブロックを提供。次世代の治療薬開発を後押しし、グローバルヘルスケアの改善に貢献している。