インフルエンザ治療薬タミフル(一般名:オセルタミビルリン酸塩)はすっかりお馴染みとなった薬剤だが、その効果を支える有機合成化学の精緻さは、一般にはあまり知られることがない。そこで欠かせないのが、植物由来の(−)-シキミ酸(CAS登録番号:138-59-0)という分子であり、世界的な医薬品中間体サプライヤーである寧波イノファームケム株式会社も、その安定供給に注力している。

オセルタミビルの合成は立体規制と官能基変換のシビアなバランスを要求する多段階プロセス。シキミ酸はシクロヘキセン骨格に水酸基とカルボン酸をもつ「キラルな骨格提供者」として機能し、分子の基本骨格に当たるC6-炭素骨格を一挙に供給してくれる。この一本の分子から、エステル化、ケタール化、エポキシ化、アジドやアミンとの開環反応などが繰り広げられ、徐々にオセルタミビルの複雑な三次元構造が構築されていく。

Gilead Sciencesが設計し、ロシュが実プロセス化した初期の工業的合成ルートは、シキミ酸を起点とする方法であった。当時は反応ステップが多く、特定の試薬操作に高度なノウハウが不可欠だった。その後、より高収率・短工程を指向した研究が加速し、温和な反応条件やアジドフリー(非爆発性)ルート、新規触媒の採用などが模索されている。そうした最新合成戦略の一端を、寧波イノファームケムも随時技術情報として提供している。

現代の医薬品製造では、原薬のコスト競争力と安定供給が国際的な課題になっている。高純度シキミ酸を安定的に確保できるかどうかが、タミフルのスケーラブル生産の要となる。寧波イノファームケムは、厳格な品質基準に適合した医薬品グレードのシキミ酸を供給し、世界中の製薬企業のオセルタミビル生産を支えている。“分子レベルの信頼性”をモットーに、当社は複雑合成プロセスに不可欠な中間体をグローバルヘルスイニシアチブに届け続けている。