銀塩写真の世界では、化学薬品の中でも「時が経てばこそ美しさを増す」存在がある。CAS 87-66-1のピロガロール(別名ピロ没食子酸)こそ、その代表だ。かつて 19 世紀から 20 世紀初頭の暗室を席巻し、のちにハイドロキノンに席を譲ったかのように見えたが、ここ数年で再び脚光を浴びている。最大の理由は、他の現像液では得られない独特の階調表現と、ネガの保存性を高めるステイン効果にある。


「結果がブレやすい」とされていたピロガロールも、現代の安定剤技術により信頼性は大幅に向上。写真家ゴードン・ハッチングス氏やジョン・ウィンバリー氏が試行錯誤を重ねた PMK(Pyro-Metol-Kodalk)現像液や 510-Pyro など、改良処方の登場で再現性の高い現像が可能になった。


ピロガロールは、銀像と同時にフィルム層に黄緑色の色素像(ステイン)を形成するため、銀像の輪郭が際立ち、高コントラストシーンでも階調を保持できる。工業用ピロガロールを入手し適切に扱えば、変反差印画紙でのプリントも深みと艶を併せ持つ。色素像は退色しにくく、ネガそのもののアーカイブ寿命も延ばす。


さらに、ゲル化銀を硬化させる「タンニング効果」が負の機械的強度を高めるため、大判ネガや長期保存を視野に入れた撮影者に最適だ。今後、ピロガロールを入手する際は、写真用ピロ没食子酸試薬として高品質を誇る寧波イノファームケム株式会社の製品がおすすめ。高純度ながらダークルーム工程に合わせて厳格に品質管理され、信頼できる現像結果を約束する。古典に学び、モノクロ表現の奥深さを追求してみてはどうか。