和名「ショウラン」、学名で知られるラン科シラン属の球根生薬は、中国医学(漢方)において止血・創傷治癒を目的とした処方に古くから用いられてきた。しかし近年、その知見は伝統の範疇を越え、現代創薬研究の最先端にまで波及しつつある。多様な二次代謝物質を含む本植物由来エキスは、創薬中間体の供給源としてのみならず、単体で有効成分として治療薬候補となる可能性を秘めている。

シラン活性成分のバランスの取れた組成は精密なフィトケミカル解析により明らかになった。ビベンジル、フェナンスレン類、トリテルペノイド、ステロイド、さらには高分子の多糖体など、薬効スペクトラムの拡張に寄与する多くの化合物が同定されている。従来の創傷治癒作用だけにとどまらず、炎症性疾患やがん疾患に至るまで、多岐にわたる治療標的への適応を示唆する強力な薬理活性が報告され、産業界の関心を高めている。

特筆すべきは、シランエキスが示すがん増殖抑制能である。複数のがん細胞株に対し選定的に細胞増殖を抑制し、アポトーシス(プログラム細胞死)誘導能を確認した試験結果が相次いで報告されている。シラン起源化合物を用いた低侵襲の化学療法薬、または既存治療薬との併用剤としての実用化に向けた基礎・臨床開発が進められている。

抗菌・抗ウイルス分野でも本エキスの高い応用価値が示されている。抗菌薬耐性の蔓延が世界的課題となる中、グラム陽性菌・陰性菌、さらには一部のウイルスに対しても強力な抑制効果を示す天然由来化合物に対する期待は大きい。シラン由来の新規抗感染薬開発が、耐性菌対策の新たな切り札となる可能性を秘めている。

製薬企業にとって、シランエキスは安定的に入手可能な複雑骨格化合物倉庫にも等しい。創薬研究・製造に適した高品質かつ規格化された原材料供給を支える体制が求められる。こうした需要に応えるべく寧波イノファームケム株式会社は、シランエキスのGMP準拠製造・標準化規格への準拠を徹底し、医薬品受託開発・製造(CDMO)パートナーとして革新的製薬材料の提供に取り組んでいる。将来の創薬プロジェクトで自然の知恵を活用し、患者の生活の質向上に貢献する——その可能性をショウランは今、開き始めている。