健康的に体重を減らし、いつまでも充実したエネルギーをキープしたい──そう願う人が増える中、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド（NAD⁺）に注目が集まっています。この補酵素は細胞内のエネルギー生産に直結し、代謝活動と脂肪燃焼力の要となります。年齢とともにNAD⁺は減少傾向にあるため、その働きを理解することはダイエット戦略に直結します。

NAD⁺は食べた栄養をATPに変換する代謝経路で補酵素として欠かせません。ATPの生産効率が高まれば基礎代謝が向上し、余分な脂肪を燃やしやすくなります。若いころには十分なNAD⁺が維持されていますが、加齢で量が低下するとエネルギー利用効率が落ち、脂肪が溜まりやすい体質へと変化します。NAD⁺ダイエットのカギは、この現象をどう逆転させるかにあります。

さらに、NAD⁺はサーチュインという代謝調節タンパクの活性にも関与。サーチュインが働くと脂肪分解とエネルギー消費が促進されますが、NAD⁺が不足するとその機能が低下します。加えて、NAD⁺は細胞内の修復システム「オートファジー」にも影響し、不健全な細胞を除去して代謝の妨げを減らす役割を担います。NAD⁺をキープすることで、脂肪燃焼のスイッチを常に「入った状態」に保てるのです。

また、NAD⁺は褐色脂肪組織（BAT）にも作用し、カロリーを熱に変えるサーモゲネシスを高めます。BATが活性化すると安静時のエネルギー消費量が増え、痩せやすい体へ転換します。NAD⁺ サプリメントの主成分であるNMNやNRは、このBAT機能を強化し、自然な脂肪燃焼力を底上げすると期待されています。

要するにNAD⁺は直接的な「脂肪を溶かす薬」ではありませんが、細胞のエネルギー生産、代謝調節、脂肪組織機能すべてを支える要石です。これらを最適に保つことで、エネルギーの無駄を減らし、脂肪が燃えやすい環境を整え、結果的に理想的な体重維持と高いパフォーマンスを実現します。