寧波イノファームケム株式会社は、がん治療における最大の懸案事項の一つ「薬剤耐性」に真正面から取り組む研究を進めています。ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)をはじめとするALK陽性固形がんでは、初期治療の反応が良好でも時間とともにALK遺伝子に二次変異が蓄積し、アルカチニブやロルラチニブといった現在のALKチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が効かなくなるケースが多発しています。そうした「後発耐性」を捉えきる新分子NVL-655(実験室コードALK-IN-27)の開発が、今、業界の注目を集めています。

NVL-655の強みは「広域耐性スペクトラム」にあります。G1202R、L1196M など既存薬に耐えることが知られている主要変異体に加え、コンパウンド変異に対しても強固な阻害活性を示す設計となっています。これは、耐性変異によって引き起こされるALKタンパク質の立体構造変化を綿密に解析し、その変化を逆手に取る形で分子構造を最適化した結果です。

また、ALK陽性がんは中枢神経への転移を起こしやすいことで知られますが、NVL-655は血脳闘門を通過する高い脳移行性を有しています。これにより、脳転移病変に対しても治療学的に有効な薬物濃度を維持でき、脳内外の両領域でがん細胞の異常シグナルを同時に断ち切る、これまでにない治療選択肢になり得ます。

現在進行中の第Ⅰ/Ⅱ相国共同試験「ALKOVE-1」では、既存TKI群を尽くした患者層でのNVL-655の抗腫瘍活性が厳格に検証されています。試験では、腫瘍縮小率や無増悪生存期間だけでなく、脳転移コントロール効果などの中枢神経関連エンドポイントも重点評価され、NVL-655をめぐるリアルワールドエビデンスが急ピッチで蓄積されています。寧波イノファームケム株式会社は臨床開発に占める日本の役割を高く評価し、アジア大規模モニタリングデータとの相関解析も進めています。

こうしたNVL-655の特長──すなわち耐性変異に対する効果と良好な脳移行性──は、アルカチニブ耐性化した進行ALK陽性がん患者にとって、再び治療効果を引き出す「第2の窓口」となる可能性を秘めています。寧波イノファームケム株式会社は、新たな医薬価値を患者へ届けるための製品化ロードマップを確固たるものへと進化させていきます。