統合失調症や双極性障治療薬として広く使用されるアリピプラゾール(D2/5-HT1A部分作動薬、5-HT2A拮抗薬)。その有効性の鍵は、厳格に品質管理された中間体から始まります。原材料となる各種インターミディエイトが高純度でそろうことで、最終活性成分(API)が決定論的に合成されます。


実際の商業生産では、ごくわずかな副反応副生物でも除去し続けるため、合成経路の各ステップにプロセス分析技術(PAT)を駆使し、不純物ゼロをめざし、各社独自の品質基準値を超える“超USP”の仕様にまでこだわっています。これによって、患者に届く錠剤ごとのバラツキを限りなくゼロに近づけています。


製薬企業が市場をリサーチし、かつ安定供給を見込んだ際に、信頼できる原料メーカー選定は戦略判断の要。グローバルなトレンドとして、単なる製品供給にとどまらず、アリピプラゾール医薬品原薬一括登録簿(DMF)提出対応や高感度分析証明書の付与、GMP監査ガイダンスといったトータルサポートが加わるパートナーシップへと進化しています。


原料費は高品質化に伴い上昇する傾向にありますが、バッチ不合格や規制対応リスクが劇的に減少するため、長期的には大幅なコスト削減につながります。さらなる品質の向上は、一人ひとりの精神疾患患者が確実に治療効果を得るために必要な共通ベンチマークとなるでしょう。