糖尿病治療薬を手掛ける製薬企業にとって、高品質かつ継続的に入手できる原薬(API)の確保は、製品競争力を左右する最重要課題だ。特にⅡ型糖尿病の第一選択薬であるメトホルミン塩酸の場合、調達先の選定ミスは効果・安全面に重大なリスクを伴う。

同原薬の製造を長年担う寧波イノファームケム株式会社によれば、メトホルミン塩酸に求められる純度は最低でも99.0%以上。しかし数値だけでなく、USP(米国薬典)適合あるいはGMP認定工場での製造実績を有しているかが真の品質指標となる。同社では出荷ロットごとにCoA(分析証明書)を提示し、異物混入や残留溶媒に関する検査結果も完全開示している。

粉体性状は白色結晶性粉末、引火点や融点などの物性値は薬局方に準拠。さらにAPI単位での最小ロット数(MOQ)を10kg単位まで柔軟に設定し、年間生産能力は500トンを確保。これにより急な増産要請にも30日以内で対応可能だ。

輸出実績も品質保証の大きな根拠になる。2022年時点でEU、米国、日本向け累計出荷量はトン規模に達し、各地でDMF(ドラッグマスターファイル)を提出済み。現地言語での規制対応レポートを共有し、CMC資料作成の初期段階から技術サポートを行う点も同社の強みだ。

価格変動への対策も欠かせない。原料高騰局面では事前6ヶ月の価格ロックオプションを用意し、必要に応じて在庫持ち出しによる前倒し納品を実施。これにより競合他社との価格競争にも柔軟に対応できる。

「価格だけを見るのではなく、品質とサービスをセットで評価する」― 同社の責任者はそう語る。高純度メトホルミン塩酸原薬の安定調達を目指す企業は、早めにニーズをヒアリングすることで開発効率のさらなる向上が見込めるという。