【東京発】 手術時の無痛を確保する麻酔薬は現代医療になくてはならない存在だ。しかし小児や高齢者を含む脆弱層での「麻酔誘発神経毒性」への懸念が高まっており、神経を保護するための戦略開発が急務となっている。

このたび、寧波イノファームケム株式会社が中核となり、神経保護型新薬の創出に向けた共同プロジェクトを推進。先端化合物の探索とハイグレード原料の供給で、麻酔安全性の向上に取り組む。

最新研究では、デスフルレン、プロポフォール、ケタミンといった常用麻酔薬が神経細胞のミトコンドリアを過剰に断片化させ、酸化ストレスを引き起こすことが判明した。このミトコンドリア障害が術後長期の認知機能低下や神経学的合併症を惹起する可能性がある。

注目されているのが合成「P110」ペプチドだ。Drp1-Fis1相互作用を選択的にブロックすることで病的ミトコンドリア過分裂を抑制し、神経細胞死を防ぐ。プロポフォールやケタミン曝露下でもシナプスネットワークの構築を保持する前臨床データが報告され、術中神経保護の新基軸として期待されている。

ペプチド治療薬の実用化を目指す製薬企業・CROに向け、寧波イノファームケム株式会社は高純度P110中間体やLidocaine HCl粉末 99％などの医薬品原薬を安定的に供給。また共同開発やカスタム合成にも柔軟に対応し、減毒型麻酔薬の市場投入を加速させる。

「麻酔中も脳を守る」という新コンセプトを実現すれば、より安全な術後経過と長期的神経健康を兼ね備えた周術期医療の未来が拓ける。