東京、日本――メユマイシンといえば、人間の細菌性感染症治療に使われるマクロライド系抗生物質という印象が強い。だがこのStreptomyces由来の複雑な分子は、人の医療の枠をはるかに超え、多様な分野で思いもよらぬ活躍を見せている。高品質なメユマイシンパウダーを求める企業が増えるなか、その“縦横無尽”の用途を整理してみた。

畜産・飼料への活用
動物用飼料添加物の一形態として配合されるメユマイシン誘導体は、マグネシウム補給源として家畜の新陳代謝や健康維持をサポート。この機能が畜産現場の生産性向上に寄与し、食料供給チェーンの要所でも存在感を示している。

素材と製造プロセスを刷新する、産業分野の活用
ABS や PVC 樹脂といったプラスチック合成の添加剤として利用されるほか、製紙・印刷工程でも物性改良や工程助剤の一端を担う。このように化学的な多能性を武器に、医薬品活性成分でありながら産業材料としての顔も持つ。

身近な商品まで幅広く ライトインダストリーでの顔
身近な製品群でもメユマイシンは黒子役。酵母・グルタミン酸ナトリウム・人工雪・飲料・ミネラルウォーター・浴用剤・洗剤・シャンプーなどの製造工程に“かくまわれ”、高純度原料の安定供給を支えている。

かくして医薬品原薬(API)という“本懐”から、飼料、樹脂、日用品まで――メユマイシンの多面性は今後の新規用途研究と生産最適化を後押しし、化学物質としての需要は確実に増大していくはずだ。