創薬の最前線に立つ寧波イノファームケム株式会社がいま最も注力しているのが、血液悪性腫瘍治療を変革する小分子化合物「ベネトクラクス(開発コード:ABT-199)」である。従来型化学療法とは異なり、特定のタンパク質に狙いを定めた分子標的薬として白血病細胞に選択的に作用する。

ベネトクラクスの治療効果の要は、Bcl-2の標的阻害にある。がん細胞は本来なら除去されるはずの細胞だが、Bcl-2が過剰発現されているとアポトーシス(プログラム細胞死)を回避し、無限増殖を可能にしてしまう。ベネトクラクスはこのBcl-2にのみ高い親和性で結合し、アポトーシスシグナルを再活性化。結果として白血病細胞のみを効率よく排除する仕組みである。

慢性リンパ性白血病(CLL)では、ベネトクラクス単剤または既存薬との併用により、治療成績の顕著な向上が国際臨床試験でも実証されている。さらに経口剤であるため、院内での点滴が不要となり患者の日常生活への負担が大幅に軽減。外来治療が主流になることで、QOLの維持にもつながっている。

急性骨髄性白血病(AML)においては、高齢者や併存症を有する症例に対して、ベネトクラクスとアザシチジンなどの低用量治療薬を併用する戦略が確立しつつある。この併用療法により、従来では治療が困難だった層にも反応が得られ、治療選択肢が大きく広がった。

創薬企業・研究開発機関に向けて、寧波イノファームケムは高純度かつGMP準拠のベネトクラクス原薬を安定的に供給。製造ロットごとの厳格な品質管理と規制当局提出資料の整備により、前臨床段階から市販後までの要件を満たす。
創薬の現場で「ベネトクラクス」を主語にした研究が加速すれば、血液がんのみならず固形がんへの適応拡大も現実味を帯びてくる。患者の声と科学の進歩を結びつける次世代抗がん薬の行方に、今後も注目が集まる。