中国・寧波 – 多様な医薬品中間体をグローバルに供給する寧波イノファームケム株式会社は、肥満や2型糖尿病（T2D）を対象とした創薬において、高純度・リオフィライズペプタイド製剤「Retatrutide」がもたらす可能性を発表した。

同社は「品質」と「安定性」を最優先に据え、研究フェーズごとの再現性確保を支援する。リオフィライズ（凍結乾燥）を施すことで水分が除去され、ペプタイドの分解を抑制し、倉庫や国際輸送時の品質変化リスクを最小化する。冷凍物流が不要な状態での長期保存を可能にし、臨床現場や研究室への供給体制も抜本的に効率化する。

RetatrutideはGCGR、GIPR、GLP-1Rという3種の受容体に作用する「トリプルアゴニストペプタイド」。この作用機序は、血糖値上昇抑制と体重減少を同時に促す点に革新性がある。ただし、受容体の複雑なシグナル伝達を的確に評価するには、99％を超える純度と均一な凍結乾燥粒子サイズが必須であり、それだけに高品質APIへの依存度は高まる。

加えて、研究用バルク供給価格を業界基準よりリーズナブルに設定。予備的安全性試験、製剤設計、早期臨床試験を大規模に実施したい製薬会社・大学研究機関にとって、コスト障壁の低減が大きなメリットとなる。同社は「最先端の肥満治療ペプタイドを手がかりに、より早い段階でイノベーションを加速したい」とコメントしている。

また、詳細品質規格書には水分含有率、残留溶媒、重金属量、微生物試験、USP（米国薬局方）・GMP（医薬品製造・品質管理規則）適合証明が網羅され、APIを受け取った瞬間から次フェーズ研究へ移行できる。Retatrutideの安定供給体制は、肥満・T2D領域の糖降下ペプタイド治療研究拡大を後押しする最後のピースとなる。

同社は今後も「APIの品質レベルを一段高めることで、複雑な新陳代謝疾患に対する革新的な医薬品開発を加速する」と方針を表明。開発コスト削減×高い再現性という相反する課題を同時にクリアする一手として、Retatrutideの実用価値は高まっていく。