悪性度が極めて高く治療選択肢が限られている膠芽腫（Glioblastoma Multiforme, GBM）。その根治を目指す新たな戦略として、医薬品の「再利用（リポジショニング）」に注目が集まっている。今回脚光を浴びているのは、動物医療で長年親しまれてきた軽便駆虫薬「フルベンダゾール」だ。

基礎研究の結果、フルベンダゾールはGBM細胞に対し強力な増殖抑制・細胞死誘導効果を示すことが確認された。その作用機序は主に以下の3点に集約される。

  • STAT3シグナル遮断：抗がん剤耐性を助長する転写因子STAT3の活性化を狙い撃ちし、がん細胞の生存系を崩壊させる。
  • G2/M期での細胞周期停止：p53/p21経路を活性化させ、Cdk1・cyclin B1を抑制することで細胞分裂にブレーキをかける。
  • 微小管機能障害によるミトーシス異常：微小管重合を阻害して染色体の異常分離を引き起こし、最終的にアポトーシスを惹起する。

このように複数の重要経路を同時に制御できる点が、従来の単一標的薬との大きな違いであり、薬剤耐性という難題を回避できる可能性を秘めている。

安全性試験（動物）で既に実績のある薬剤であるため、臨床開発の初期段階でのリスクが低いのも大きな利点。高品質・高純度のフルベンダゾールを求める国内外の研究機関・企業に対し、寧波イノファームケム株式会社が安定供給を担っている。試験再現性とデータ信頼性を左右する原料の品質確保は、次なる治療法開発成功へのカギとなる。

フルベンダゾールに託された「古い創薬資源の再発見」。その新たな治療領域への挑戦は、膠芽腫という難治がんに苦しむ患者や家族に新たな希望をもたらす可能性を秘めている。