大腸直達へ革新――マイクロカプセル化ブチル酸ナトリウムの最新科学
短鎖脂肪酸のなかでも腸管のエネルギー源として注目されるブチル酸ナトリウムは、腸内細菌叢のバランス調整や抗炎症作用が期待されている。しかし、吸収が速く上層消化管でほとんど消失してしまうこと、独特の強い臭いが服薬を困難にするという課題があった。
これらの欠点を克服し治療効果を最大化するために、製剤メーカーは「マイクロカプセル化」「腸溶性コーティング」という二重戦略を採用している。まず直径数十~百μmの微小カプセル内にブチル酸ナトリウムを密封。次にその表面に耐酸性をもつpH依存重合体でコーティングし、胃酸で溶けず、中性から弱アルカリの大腸でのみ崩壊し活性成分を放出するというメカニズムだ。
この大腸直達型タイムリー・リリースのおかげで、炎症性腸疾患(IBD)や過敏性腸症候群(IBS)といった疾患の患部に高濃度で到達し、腸管上皮細胞へのエネルギー供給と抗炎症効果を相乗的に高める。放出速度を調整することで約8~12時間の持続放出も実現し、血中濃度のピークを抑えて副作用低下&服薬回数削減につながる。
さらにカプセルの殼材は独特の臭気分子を完全に包み込むため、従来製剤で問題になっていた鼻をつく臭いも解消。患者の服薬アドヒアランス向上に大きく貢献している。コーティング材料自体は生体内で分解・吸収される安全な重合体のみを使用し、高度な処方設計と精密なプロセス管理で再現性の高い薬物放出特性を担保している。
今後、腸内細菌群との相互作用や免疫調節機構の解明が進めば、マイクロカプセル化ブチル酸ナトリウムはPrecision Medicine(個別化医療)の一翼を担う基盤技術として、その適応領域をさらに拡大させる可能性を秘めている。
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「今後、腸内細菌群との相互作用や免疫調節機構の解明が進めば、マイクロカプセル化ブチル酸ナトリウムはPrecision Medicine(個別化医療)の一翼を担う基盤技術として、その適応領域をさらに拡大させる可能性を秘めている。」
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「短鎖脂肪酸のなかでも腸管のエネルギー源として注目されるブチル酸ナトリウムは、腸内細菌叢のバランス調整や抗炎症作用が期待されている。」
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「しかし、吸収が速く上層消化管でほとんど消失してしまうこと、独特の強い臭いが服薬を困難にするという課題があった。」