神経内分泌腫瘍（NET）は、ホルモンを産生する細胞に由来する希少がんの総称で、消化管や膵臓に好発し、過剰ホルモンにより多彩かつ重篤な症状を引き起こします。がん細胞表面に存在するソマトスタチン受容体に高親和性で結合するオクレオチド酢酸塩は、セロトニン・インスリン・グルカゴン・VIP等の過剰分泌を抑えることで、顔面紅潮・下痢・腹痛といった症状を劇的に軽減し、NET患者にとって欠かせない標準治療の一角となっています。

さらに進化した臨床研究により、ホルモン抑制に加え、がん増殖そのものを抑える直接的な抗腫瘍効果も明らかになってきました。今では経過観察の指標となるホルモンバイオマーカー上昇を穏やかにコントロールし、生活の質の向上と長期予後の改善に貢献しています。新規製剤や長時間持続注射製剤の登場により、投与頻度の削減と患者アドヒアランスの向上も期待されています。

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