世界の抗がん剤市場で注目を集めるEGFR阻害薬「Osimertinib」の合成に欠かせない最重要中間体、それがOsimertinib AZD9291粉末です。本稿では、その物性データ、品質基準、そして創薬プロセスへの貢献について概観します。

外観は白色〜微黄色の結晶性粉末で、純度は99％超を確保。分子式C28H33N7O2、分子量499.61、CAS登録番号1369773-39-6という固有スペックが、APIの効率合成と品質担保を支えています。細やかな精製工程により不純物を極限まで排除することで、厳格な製造基準（ICH Q7等）への適合性を実現しています。

主な用途は、非小細胞肺がん治療薬「Osimertinibメシル酸塩」の合成における鍵中間体です。キナーゼ阻害活性を有する母核導入に先立ち、当該中間体の立体選択的アミノ化反応が導入段階で実施され、最終APIへの転化効率を左右します。そのため、高純度かつトレーサビリティが確立されたAZD9291の安定供給体制は、製薬企業のCMC戦略の要となります。

また、連続フロー合成やAIを活用したプロセス最適化など、次世代API製造技術の評価にも高再現性の試薬として活用されています。今後の精密有機合成・ドラッグデリバリー研究においても、Osimertinib AZD9291の重要性は増す一方です。