PDT（光線力学療法）で注目されたベルテポルフィンは、眼科領域を超え、現代医療で新たな存在感を強めている。現在進行中の複数プロジェクトは、既存適応症の改良だけでなく、未知の治療領域への挑戦も同時に進めている。

革新の最前線は、薬物輸送技術の刷新だ。ベルテポルフィンの有効性を高めながら全身曝露を最小化するため、研究者たちは標的送達システムを開発中だ。たとえば、ナノ粒子を活用した指向性カプセル化技術では、疾患部位に集中投与し、健全組織への影響を低減できるという。脈絡膜新生血管病変向けの局所ジェル化技術も臨床段階に入っており、一定速度での持続放出を可能にする。

コンビネーション療法の可能性も急拡大している。眼科ではポリープ状脈絡膜血管症（PCV）向けに、抗VEGF薬との併用で相乗効果を報告。一方がん領域では、化学療法や分子標的薬との併用によって、薬剤耐性を回避しつつ治療効果を高める検証が進んでいる。

さらに注目されるのは、光線力学効果とは別のYAP-TEAD阻害作用だ。多くの悪性腫瘍で異常活性化するHippoシグナル経路を標的とし、膵がん、乳がん、神経膠腫（グリオーマ）などへの適用が期待されている。PDTによる壊死誘導と並行してYAPシグナルを遮断する“ダブルパンチ”戦略は、次世代がん治療の切り札になり得る。

治験や臨床研究が加速する中、ベルテポルフィンを買う際の入手ルートや倫理的プロトコル、GMP準拠プロセスの理解が研究者・臨床家にとって必須要件となっている。ベルテポルフィン応用の最新動向をトラッキングし、メカニズムを継続的に精査することで、革新的適応症の開拓は加速していく。

総じてベルテポルフィンは、送達システムの改善、新たな疾患領域への展開、多剤併用戦略の確立という三本柱のもと、難病に挑む次世代治療へと進化している。