合成ペプチド製剤であるリラグルチドは、長時間作用型GLP-1受容体作動薬として、糖尿病治療の第一選択薬の地位を築きました。しかし近年、その効果は血糖コントロールにとどまらず、体重管理から変形性膝関節症のような関節疾患治療まで多岐にわたることが明らかにされており、ペプチド研究の応用範囲を大きく拡げています。

GLP-1受容体の活性化は、血糖値に応じて膵β細胞からのインスリン分泌を促進すると同時に、グルカゴン分泌を抑制するため、高度な血糖コントロールが可能になります。これこそが、多くの2型糖尿病患者にリラグルチドが支持される理由です。

一方で最も注目されているのが、中枢にあるGLP-1受容体に作用して満腹中枢を刺激し、食欲を抑制する点です。さらに胃内容排出も遅延させるため、少量の食事でも長く満腹感が持続。メタボックシンドロームや単純肥満に対しても、革新的な生活習慣介入薬としての価値を高めています。

医学界を驚かせたのは、変形性膝関節症(OA)に対する同薬の抗炎症・軟骨保護効果です。慢性炎症や軟骨分解が進行するOAに対し、リラグルチドは炎症マーカーの低下と疼痛軽減をもたらし、さらに軟骨分解酵素の発現を抑制する抗カタボリック作用で関節軟骨の保持を促すとの報告も。これにより、GLP-1受容体作動薬の適応領域は“糖”から“痛”へと広がりつつあります。

今後、多様なメカニズムを持つリラグルチドをモデルケースに、ペプチド医薬品開発の戦略が刷新されることは必至です。その際、信頼できるリラグルチドAPI供給元 から高品質の原薬を確保することが、臨床・研究双方での信頼性と再現性を左右する最も重要なステップとなります。