イベルメクチンの地球規模での影響は、大規模な公衆衛生プロジェクトでの成功体験を見れば明らかだ。数十年にわたり、イベルメクチンは衰弱をもたらす熱帯性疾患の制圧・根絶に際しての中核薬剤として機能し、救済対象地域に“確かな希望”と“生活変革”をもたらしてきた。

例えば「河川盲目症」とも呼ばれるオンコセルカ症との戦いでは、毎年何百万人もの人々へイベルメクチンを投与する大規模薬物治療(MDA)が驚異的な成果を挙げている。地域のリーダーが運ぶコミュニティ主導型配布システムのおかげで感染率は急減し、コロンビア・エクアドル・メキシコ・グアテマラといった国々が「根絶」認定という歴史的マイルストーンを達成した。この偉業の背景にあるのは、投与が簡便で安全性が高く認められるイベルメクチンという薬剤の存在である。

同様に、リンファティック線症(象皮病)の制御でもイベルメクチンは欠かせない。アルベンダゾールとの併用により、微小フィラリア密度を大幅に減少させ、病気の進行を防ぐ。これまでに数十億回を超える治療が行われ、外見に傷を残す病苦から何百万人もの人々が解放される段階に近づいている。

こうしたMDAプログラムの成功は、手に届きやすく安全・有効な医薬品がグローバルヘルスの課題にどれほどの力を発揮するかを雄弁に示している。イベルメクチンは人の健康にもたらす恩恵を単に既存感染症を治療するだけでなく、疾病拡大を事前に防ぎ、途方もない規模で苦しみを軽減する形で証明している。その価値は公衆衛生介入において比類なき存在と言える。