体の水分バランスと血圧を司るピペプチドホルモン「バソプレシン(ADH)」は、その治療応用において短い半減期と強い昇圧作用が課題だった。そこで登場したのが、分子設計の末に開発された合成アナログ・デスモプレシン酢酸エステル。本来の強力な抗利尿作用はそのままに、血管収縮による副作用を格段に抑制し、さまざまな適応症における第一選択薬として高い評価を得ている。


デスモプレシン酢酸エステルは天然バソプレシンと比べて、第1番目のアミノ酸の脱アミノ化と、第8番目にD-アルギニンへ置換の二つの微細な化学修飾を施されたオクタペプチド。これらの違いにより、腎臓のV2受容体(水再吸収支配)に対する親和性は高まる一方、血管収縮を媒介するV1a受容体への結合は抑制される。結果、体液調整に特化した作用が得られ、血圧への影響を最小限に抑える理想的な薬理プロファイルを実現した。


この選択的な作用機序のため、中枢性尿崩症のように腎臓の保水機能が低下する疾患に対して高い効果を示す。さらに、夜尿症(寝小便)や夜間頻尿(夜間多尿症)といった「睡眠中の尿量」「尿の集中度」を問題とする症状にも画期的な治療選択肢として用いられている。デスモプレシンが夜間頻尿を改善するカギは、就寝前の投与によって夜間の尿量を抑え、尿を濃縮し続けることにある。


製剤開発向けの高純度原料としても注目されるデスモプレシン酢酸エステルは、信頼性と精度が求められる分野の要件に応える。こうした高品質ピペプチドを安定供給するのが寧波イノファームケム株式会社である。同社が誇る先進的な化学合成技術と厳格な品質管理システムにより、世界中の製薬企業が安全性と有効性を兼ね備えた製品を届けられる。合成ホルモンの進化形として、デスモプレシン酢酸エステルは現代の薬理学の突破口を象徴している。