パラセタモール(一般名:アセトアミノフェン)は、非処方でも入手しやすく、発熱や痛みを抑える常備薬として世界中で服用されています。NSAIDsに比べ胃への負担が小さいと言われることから、安心して選ばれる傾向にあります。ただ、安全性が高いからといって気軽に使いすぎると深刻な副作用に直結するケースもあるため、正しい知識をもとに慎重に使うことが大切です。

成人の1日の上限は4,000 mg(体重を考慮すると50 kg以上で例外的に3,000 mgに留める医療機関も)。風邪薬や総合感冒薬にもパラセタモールが含まれているため、重複摂取のリスクに注意してください。オーバーすれば劇的に肝障害が悪化し、肝不全を引き起こすこともあります。

適切な用量と投与期間は安全性の要。症状が軽快すれば最短で服用を終了する、という基本的な姿勢が肝臓の長期負荷を軽減します。稀にみられる重篤な副作用には重篤な過敏性皮膚反応、肝機能異常、過敏症などが挙げられます。

特に注意すべきは飲酒との併用です。慢性的な大量飲酒は、肝酵素の誘導によってパラセタモールの毒性代謝物 NAPQI の生成量を高めながら、肝保護物質のグルタチオンを枯渇させます。その結果、推奨量以内でも肝障害を発症するリスクが跳ね上がります。肝臓に既存疾患がある方、日常的にアルコールを摂取する方は医師への事前相談が必須です。

その他の薬剤との相互作用も要チェックです。なかでもワルファリンとの併用では、パラセタモールの定期使用により抗凝固作用が増強され、出血リスクが高まることが知られています。医師は内服中の処方薬に留まらず、市販薬・サプリメントまで含めた全体像を把握したうえで適切なアドバイスをくれます。

万が一の服用過量では、症状の有無に関わらず速やかに専門機関へ受診してください。早期の解毒療法により重篤な肝障害の進行を抑えることが可能です。お手持ちの薬の包装、飲んだ総量を正確に伝えることで迅速な対応が望めます。

まとめると、パラセタモールは正しい使い方を守れば手軽かつ効果的な鎮痛・解熱剤です。上限用量と併用禁忌を再確認し、疑問があれば医療専門家に積極的に相談してください。それだけで安全性は飛躍的に高まります。