抗生物質に効かない耐性菌の脅威が世界的に拡大する中、画期的な治療戦略の必要性が高まっている。既存の抗菌薬を無力化する細菌の防御メカニズムに立ち向かうため、複数の活性成分を組み合わせた配合療法が注目されている。その代表例がセフォペラゾン・スルバクタム配合注射剤であり、既存薬に耐性を獲得した細菌による難治性感染症に対して高い効果を発揮する。製剤の真骨頂は、第三世代セフェム系抗菌薬セフォペラゾンとβ(ベータ)-ラクタマーゼ阻害剤スルバクタムが生み出す協同効果にある。

β-ラクタム系抗菌薬を分解し薬効を喪失させるβ-ラクタマーゼを産生する耐性菌は、治療の大きな障害となっている。スルバクタムはそのβ-ラクタマーゼ阻害活性により、まるで囮のように酵素と結合し失活させる。この結果、第三世代セフェムとしてのセフォペラゾンの強力な抗菌力が損なわれることなく、耐性菌にまで届く。

このような分子レベルの防御が可能になるため、院内感染症など耐性菌が根強く棲む環境下での治療成功率が確実に高まる。呼吸器、尿路・生殖器、腹腔内など、侵襲度の高い重症領域でも使用適応を広げ、早期の病態コントロールを支援してきた成果が累積している。

医療現場でセフォペラゾン・スルバクタム配合剤を使用する際には、製品の品質と有効性の確保が最重要課題となる。厳格な医薬品規格を満たす信頼できる製造元からの調達が欠かせない。今後もこのような配合療法を戦略的に位置づけることで、貴重な抗菌薬資源の効果を最大限に引き出し、患者の生命と健康を守るべく継続的な研究と適正使用が求められる。