イノシンプラノベックスは、研究と臨床実績を重ねるたびに多彩な治療アプリケーションを拡大し続けている免疫活性化剤である。単なる抗ウイルス薬にとどまらず、慢性的に再燃する疾患から突発的な呼吸器感染症まで、治療方針の一助として幅広く用いられるようになった。

最も多くの症例を積む適応は、口唇および皮膚粘膜型単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症だ。発症期間を短縮し重症度を軽減する効果が確立しており、患者のQOL向上に貢献している。同様に、尖圭コンジローマの背景となるヒトパピローマウイルス(HPV)症例では、レーザー治療などの局所療法との併用によりより高い奏功率が確認されている。

季節性インフルエンザやアデノウイルス、パラインフルエンザウイルスによる呼吸道疾患に対しても、発症早期からの投与で症状を穏やかにし、平均治癒日数を1~2日の差で短縮する知見が積み重ねられている。近年では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連でも脚光を浴び、特に軽症~中等症例のモルタリティ削減や重症化予防に役立つとの実臨床データが発表されている。

急性感染症にとどまらず、慢性疾患への応用研究も進む。筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は免疫不全に起因する疲労感が主症状だが、イノシンプラノベックスの免疫調節能により、関連スコアが有意に改善する報告がある。エイズウイルス(HIV)による免疫不全進行遅延という過去の試験例も存在するが、今や最適な抗レトロウイルス薬(ART)へと治療スタンダードが移行している。

原料薬(API)のコスト競争力が向上し、臨床研究へのアクセスも容易になった。風邪レベルの軽度疾患から複雑なウイルス・免疫疾患まで、イノシンプラノベックスは治療選択肢の羅針盤となる。今後もそのメカニズムの解明がさらなる適応拡大を促すと期待される。