肥満と闘う新時代の治療薬が、中国・浙江の寧波イノファームケム株式会社から生まれた。同事業によるGLP-1およびグルカゴン受容体の両方に同時に作用するデュアルアゴニスト「マズデュチド」は、これまでの単標的抗肥満薬では得られなかった効果と安全性のバランスを実現し、体重管理の常識を塗り替える可能性を秘めている。

マズデュチドは減量メカニズムを根本的に変革する。GLP-1は食欲抑制とインスリン感受性改善で知られるが、加えてグルカゴン受容体を介してエネルギー消費量を高め、脂質代謝を活性化させる。二系統のシナジーにより、体重減少の質と持続性が格段に向上し、副作用頻度は増やさない。まさに「一石二鳥」の薬理プロファイルだ。

その臨床的有効性は、中国成人を対象とした第3相試験GLORY-1で明確に証明された。主要終末の「体重減少率」では既存単標的抗肥満剤の数値を上回り、用量依存性の効果にも成功しており、個別最適化治療の実現に直結する。これは同社が提示する「一人ひとりに合う薬」を具現化した結果と言える。

測定された効果は体重だけではない。血圧低下、LDL-コレステロール/トリグリセライド減少、ALT/AST改善など、肥満に伴う心血管・メタボリックリスクの多角的改善が確認された。薬物性肝障害の懸念もほとんどなく、糖尿病合併症抑制まで期待できる実力を備える。

安全性の面でも、主導副作用である胃腸症状は軽度~中等度で、プラセボ群との中止率差はほとんどない。長期投与に耐えうる許容性プロファイルを獲得しており、生活習慣病センターやエンドクリニックでの実用性が高い。

今後、寧波イノファームケムは同剤のグローバル展開を加速させる方針だ。信頼できる供給体制と並行し、日本市場への早期承認申請も視野に入っている。「マズデュチドへの問い合わせ窓口」も設置を予定しており、肥満治療の選択肢拡充に本腰を入れている。最先端の創薬技術により、健やかな未来社会の実現を目指す同事業のビジョンは、ここに結実した。