自然由来セルロースを原料に合成されたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、医薬品・食品・化粧品・パーソナルケアまで幅広い用途で急増している。消費者の「健康」と「安全」という強いニーズに応え続ける裏には、確実な安全性データと各国機関の厳格な規制承認が支えている。

製薬分野では、HPMCは賦形剤(Active Pharmaceutical Ingredientを安定補助する成分)として位置付けられ、米国FDAや欧州医薬品庁(EMA)など国際機関の綿密な審査を通過済み。米国薬典(USP)・欧州薬典(Ph. Eur.)に専用モノグラフが設けられており、品質・純度基準が厳格に定められている。

食品分野では、HPMCは添加物E464として管理されており、米国FDAはGRAS(Generally Recognized As Safe)に認定。欧州EFSAもADI(1日摂取許容量)範囲内での使用には健康リスクがないと結論付けている。安全性の裏付けとなる急性・亜慢性・慢性毒性試験のほか、遺伝毒性・発がん性試験データも十分に審査済みである。

化粧品・パーソナルケアでは、増粘剤・乳化安定剤・皮膜形成剤として多数の製品に配合。米国CIR(化粧品成分審査専門家会議)は非刺激性・非感作性として安全性を認可し、敏感肌対応製品でも使用できる。

毒性学的研究は一貫してHPMCの急性・慢性毒性が極めて低く、消化管での吸収もほとんどなく、変異原性や発がん性も確認されていない。こうした膨大な科学的エビデンスが、世界中で安全な消費者向け素材としての地位を盤石なものにしている。

製造業者は各用途・地域ごとに定められた純度基準・使用量上限・ラベル表示規則を遵守することで、日常使いの製品に安心してHPMCを配合できる。今後も規制と科学の両輪が磨き続け、HPMCは消費者の健康志向を確実に支えて行く。