微結晶セルロース（Microcrystalline Cellulose、通称MCC）は、スキンケアからメイクアップまで、多彩な化粧品処方における要となる機能性原料だ。その超微細粉末形状と化学的安定性を活かし、使用感と製品品質の両立を実現している。

化粧品への応用では、皮脂や余分な水分を適度にコントロールする油分吸収機能が注目され、下地やメイクアップ製品に頻繁に配合される。また、温和な研磨作用を活かした角質ケア製品では、肌への負担を抑えながら不要な角質を取り除く“ホームピーリング”効果を提供する。さらに乳化系処方では、油相と水相の分離を防ぎ、ローションやクリームでの経時安定性を高めるMCCの乳化安定効果も欠かせない。

粘度・ボリューム調整能も高く、クリームや軟膏はもちろん歯磨き粉においてもクリーミーなテクスチャーを実現し、伸びの良いなめらかな塗布感をもたらす。このため化粧下地やフェイスパウダーでは、皮脂によるテカリを抑えるマットフィニッシュを与え、MCC導入による使用感向上として高く評価されている。

さらに不活性で他成分との反応性が低く、処方安定性と安全性を損なうことがない。原料は木材パルプ由来の天然セルロースであるため、サステナブル＆ナチュラル志向の高まる日本市場でも高い支持を得ている。

結論として、MCCは単なる添加剤にとどまらず、化粧品の「質感」「安定性」「使用感」を総合的に高めるマルチファンクショナル原料であり、モダンなビューティ・フォーミュレーションには不可欠な存在といえる。